春になったけどどこにも行けないので、相変わらず地元でボルダー開拓。この辺では珍しい石灰岩のボルダーにいくつかラインを引いたのだけれど、それにまつわる思う事をなんとなく。
まず、河原の非常に目立つ場所にあるボルダーなので、当然すでに誰かが登っていると思い、最初は登る事をためらった。インターネットや、昔からこの周辺に通っていたクライマーに聞いて調べても、その岩についての情報は一切出てこなかった。二ヶ月ほど指をくわえて見ていたが、埒が明かないので、とりあえず軽くさわってみる事に。
岩自体のスケールはさほどでないが、高さ3.5mはあり、140°くらいに被っていて、とても登攀意欲をそそられる。リップは苔だらけでホールドと思われる凹凸にも粉が吹いており、ボルダリングらしき跡は見受けられなかった。おそらく、登られていたとしても、かなり昔だろうなという印象。顕著な凹凸がたくさんあるので、どのようにでもラインが引けるだろうと踏んでいたが、いざ取り付いてみると、傾斜によってどれも意外と厳しい。なので初日は、一番登りやすい左カンテ沿いにあるガバと、傾斜面にあるホールドを繋いで直登するラインを掃除して登った。グレードとしては5級くらいで少し物足りないが、一番自然なラインだし、気持ちよく登れたのでまぁいいかという感じで、名前を付ける事もなくその場を去った。
二回目に来た時は時間がなくトライこそしなかったが、前回は見いだせなかった傾斜面からの真っ向勝負なスタートと、二段目の、この岩の真のリップへのラインを発見できた。俄然やる気が出て、その翌週には早速トライを開始した。まずは抜け口のリップを掃除してみると、苔と一緒に岩がポロっと剥がれてくる。幸いにして欠けは収まり、安定したリップが出てきたのでホッとした。次に、普段はやらない脚立を使ってのホールド磨きと、欠けないかどうかの確認をした。ここでまた過去の事を想像してみる。悪い・・・マットもなかった時代のクライマーが果たしてこのラインをボルダリングで登るだろうか?
ムーヴを分割してトライしてみて、最後の抜け以外はすぐに解決した。まず初手が核心、その後2級くらいのムーヴが7手、そこから2~3手の初段というイメージ。なかなかの大作だが、またしても葛藤が生じる。スタートの体制が不自然なほど窮屈で気持ち悪く、初手取りが思いのほか強度が高い。しかも下にある大きな岩が邪魔なので、ムーヴを起こすと必ずと言って良いほど岩に触れてしまうのだ。昨今は、登攀中に少し地面に擦っただけで荷重しなくてもクレームが入るような理解しがたい風潮がある。せっかく充実した内容がある課題なのに、ムーヴを成功させるよりも、岩に触れないようにするのが核心だなんて、どうも納得がいかず、結局はその一手を省くことにした。
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