2019-09-06

飯舘村 葉山の岩場



飯舘村葉山の岩場を紹介します。
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 平成29年3月31日に村の避難指示が解除になり、一年ほど経った頃から、飯舘の山に足が向くようになっていました。住民は本当に戻ってくるのか? 除染はどの程度行われ、山の線量はどうなのか? そしてクライマーは受け入れられるのか? 慎重に調べを進めながら、いくつもの山を探索しつつ登るうちに、そのとてつもなく大きな可能性に魅せられるようになりました。そして徐々に仲間が集まり始め、開拓が進むうちに、このまま仲間内だけで占有するより、多くのクライマーにこの魅力を知ってもらい、飯舘村に足を運ぶきっかけになってくれれば、そして村の現状を見てもらう事で、原発事故の風化を少しでも食い止められたらと思うようになった事、また、一部ではあるが、村民の理解が得られるようになった事などから、公表を決意するに至りました。

 今回紹介する葉山には、急峻な尾根沿いに露出する岩塔や、谷に転がっているボルダーが登り尽くせないほどたくさんあります。フェイス系は少なく奇麗なクラックやカンテが多いです。5mを超える巨岩も数多くあるので、ボルダリングで厳しい高さではカムを使ったり、トップロープを張ったりしながら、安全にかつ岩を傷付けないように、また、登れてもあえて名前やグレードの設定をせず、後から来る人達が、我々と同様に何にも囚われず、各自の想像力と技量に合ったスタイルで登る事を選択できるよう配慮してきました。なので、ここには「課題」はありません。逆に言えば、楽しめる人が限られるエリアですが、初登やグレードに拘りたい、または情報に頼れる安心出来る環境で登りたいのであれば、今や他に岩場はいくらでもあります。世の中にこんな自由で不親切なエリアがあっても良いと思うし、これが飯舘村というある意味特殊な環境に合ったスタイルとも言えるでしょう。(実際このエリアのトポを作る作業は容易ではない)
 ただ、そうは言っても、目印も何も無いのでは、ただ迷って一日を無駄にしてしまう可能性もあるので、エリアのシンボルとして「一凛花」を紹介しておきます。エリア中央尾根の一番上に位置し、とても分かりやすく、登攀欲をそそる美しいクラックです。
 尚、このエリアでは、ボルトを打ったり、チッピング等、故意に岩を加工しないでください。せっかくの想像力を大切にする岩場が台無しになってしまいます。同じ理由から、登ったラインの痕跡はなるべくない方がよいでしょう。チョーク痕は掃除して帰って欲しいと思います。


【アクセス】
飯舘村臼石地区側から。地図に記載の八石山入口から石材工場の裏を曲がり、登り切ったところに葉山神社の鳥居がある。鳥居前の車2台程度の駐車スペースに停める事。隣接する石材工場の社長さんには入山の了承を得てありますが決して迷惑にになるような停め方はしないで頂きたい。鳥居から谷沿いに進むとすぐ左手に岩群が現れます。谷は急峻ですが、一凛花までは10分程度で行けます。

【範囲】
一凛花のある中央尾根を挟んで両隣の尾根までが、岩の密度が高い。それより遠くにも岩はあるが、密度が低いのとあまり行ってないのでよく分かりません。山頂には目印的なものは何もない。山のほとんどは国有林ですが、裾の方は私有地なので気を付けてください。

【装備】
高いもので8mくらいの岩もあるので、取り付く岩によって変わります。
ペアで行く場合は、共同装備として、ボルダーマットx1枚、30mロープx1本、キャメロット(#0.2~#5まで)x1セット、終了点用のスリングとカラビナ+ヌンチャクx2本ぐらいあれば十分でしょう。

【シーズン】
雪解け~7月中旬、9月下旬~雪が降るまで
飯舘村の標高は平地で500mもあり、高原的な気候なので、この辺りではかなり涼しい方だが冬は寒い。感覚的には福島市内の気温から-5度ぐらいです。

【注意事項】
アウトドアの基本的マナーを遵守してください。特に山火事には細心の注意を。地面は落ち葉なのでガスバーナーの使用は厳禁です。また、怪我をした場合、飯舘村には救急車1台はありますが、病院は村外になるので、搬送にそれなりの時間がかかるのを覚悟してください。

【トイレ】
当然ですがありません。
近くのローソンか道の駅「までい館」で買い物をし、そこで用を足してください。

【放射線量】
0.9~1.9μSV/h。
原子力規制委員会の航空機モニタリング(平成30年11月)とほぼ同じ結果。山は除染されていないので、原発事故の実態がそのままであり、10kmも離れていない霊山ボルダーと比べて約5倍も高い数値になっている。低線量被ばくの確率的影響について考える材料は様々あり、受け止め方も人それぞれである為、この数値を見て行くか行かないかは各自で判断してください。私個人としては、週末山に入るだけなら何も問題ないし、地元の山で登りたい岩を自由に登って生活できるなら許容できると判断しています。
とは言うものの、国や東電には、何とかする責任はあると思うのだが。。。

 「一凛花」
以前にもブログで紹介したが、傾斜110°のフィンガーからハンドサイズのストレートクラック。ボルダーサイズとしては他に類を見ない美しさだと思う。体感では一級から初段だが、再登者が出ていないためグレードは確定していない。




簡単な岩もたくさんある。
カンテとして登っても良いし、クラックとして登っても良い。




リードはちょっと怖いなと思うときはトップロープもアリ。



低い岩でトラバースも楽しい。




登れそうだけど高い岩をリードでオンサイトトライするのも楽しい。



当然挟まってもいいんです。



まだ触られていない岩もたくさんある。




名前は無いが名作も数多い。




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